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LANは聞いたことあるけど、WANって何なの?
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いくつか違いはあるけど、大きな違いは接続する範囲が違うよ!
無線LAN(Wi-Fi)をはじめとする「LAN」という言葉は、多くの人にとって日常的に馴染み深いものです。しかし、「WAN」という言葉になると、少し聞き慣れない方も多いかもしれません。
これらのネットワーク用語は似ているようで、実は大きな違いがあり、用途や設計にもかなりの差があります。
この記事では、LAN(ローカルエリアネットワーク) と WAN(ワイドエリアネットワーク) の違いや特徴について解説し、これらがどのように連携して現代のネットワークを支えているのかについても触れていきます。
LANとは? (ローカルエリアネットワーク)
まず、LAN について見ていきましょう。
LANは Local Area Network の略で、限られた範囲内でデバイス同士を接続するネットワークを指します。
この範囲は、家庭やオフィス、学校など、比較的小さな地理的エリアです。LANは、主に高速な通信を提供するため、日常的なインターネット利用や社内ネットワークでよく使用されます。
LANの特徴
LANには主に以下のような特徴があります。
- 高い通信速度
LANは、一般的に非常に高速な通信速度を提供します。例えば、イーサネット(Ethernet)やWi-Fiのような技術では、10Mbpsから10Gbps以上の速度が実現できます。これにより、大容量のデータをスムーズにやり取りすることができます。
- 低遅延
ネットワーク内のデバイス間の距離が比較的短いため、通信遅延が少なく、高速で反応の良いネットワーク通信が可能です。
- 高い信頼性
LANは、特定の施設内や家庭内に限定されるため、物理的な障害が発生した場合の影響範囲が限定され、迅速な復旧が可能です。また、セキュリティ対策も比較的簡単に行えます。
LANの用途
LANは主に以下のような場面で使用されます。
- 家庭用ネットワーク
家庭内のPC、スマートフォン、タブレット、スマート家電を接続して、インターネットやローカルリソース(ファイル共有など)を利用します。
- 企業内ネットワーク
オフィス内でのコンピュータやプリンタ、サーバーの接続を通じて、業務の効率化やデータの共有を実現します。
- 教育機関
学校や大学で学生や教職員がネットワークを利用して、学内リソース(図書館のデータベース、教材など)にアクセスします。
WANとは? (ワイドエリアネットワーク)
次に、WAN について見ていきます。
WANは Wide Area Network の略で、広範囲にわたる地理的エリアをカバーするネットワークです
WANは、都市間、国間、さらには大陸間の距離を超えて接続を提供します。このように、WANは複数のLANを結ぶ役割を果たし、インターネットの基盤としても重要な役割を担っています。
WANの特徴
WANの特徴としては以下のようなものがあります。
- 広範囲カバー
WANは、地理的に広範囲にわたるネットワーク接続を提供します。たとえば、異なる都市や国をまたぐ企業の拠点間接続などがこれに当たります。
- 低速な通信速度
LANと比較すると、WANは通常、通信速度が遅くなりがちです。これは、広域通信であるため、通信インフラにかかるコストや技術的な制限があるためです。通信速度は数百Kbpsから数百Mbpsの範囲で、遅延も大きくなりがちです。
- 複雑なインフラ
WANは、通常、大規模な通信インフラを必要とし、複数のサービスプロバイダや専門的な設備が関与します。そのため、管理や保守が複雑になります。
WANの用途
WANは主に以下のような場面で使用されます。
- 企業間ネットワーク
複数の拠点を持つ企業が、WANを使ってグローバルに展開する場合、支店やオフィス間での情報共有や業務処理が行われます。
- 国際通信
グローバルなビジネスやインターネットサービスプロバイダ(ISP)は、WANを利用して世界中の拠点を接続し、インターネットやデータサービスを提供します。
- インターネット
インターネットは、最も広範なWANの一例であり、世界中のユーザーが情報をやり取りするための基盤となっています。
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LANとWANの技術的な違い
LANとWANは、使用するプロトコルやデバイス、インフラにおいてもいくつかの大きな違いがあります。
通信プロトコルの違い
LANは、主にイーサネット(Ethernet)やWi-Fiなど、高速で低遅延の通信を提供するためのプロトコルが使われます。これにより、高速かつ信頼性の高いデータ転送が可能です。
一方WANは、PPP(Point-to-Point Protocol)やMPLS(Multi-Protocol Label Switching)、ATM(Asynchronous Transfer Mode)など、広域ネットワークに適したプロトコルが使用されます。これらは、広範囲で接続を維持し、遅延を管理するための技術です。
デバイスとインフラの違い
LANは、スイッチ、ルーター、アクセスポイント(AP)などの比較的安価で、簡単に設置・管理できる機器が使用されます。家庭やオフィス内で簡単にネットワークを構築できます。
一方WANは、専用ルーター、ファイアウォール、専用通信回線など、より高価で複雑な設備が必要です。これらの設備は、広範囲でのデータ転送やセキュリティを保つために不可欠です。
ネットワーク管理の違い
LANは規模が小さく、比較的単純な構成を持っているため、ネットワーク管理が比較的簡単です。通常、企業内で1人または少数のネットワーク管理者が対応します。
一方WANは、大規模で複雑なため、ネットワーク管理が困難です。複数のインターネットサービスプロバイダ(ISP)との調整や広範なモニタリングが求められ、管理者には高度な技術が必要です。
LANとWANの連携:現代のネットワークの融合
現代のネットワーク環境では、LANとWANは連携して使用されることが一般的です。
たとえば、企業内のLANは、WANを通じて他の拠点や支店と接続され、広範囲にわたるデータ通信を実現します。
また、家庭内のLANも、インターネット(WAN)を通じて外部のネットワークと接続されます。。
ハイブリットネットワーク
ハイブリットネットワークは、LANとWANの両方の利点を組み合わせたネットワークアーキテクチャです。
内部ネットワークの高速度と低遅延を享受しながら、WANを通じて外部ネットワークと接続することが可能になります。これにより、企業や家庭は、より効率的で柔軟なネットワーク構築ができます。
セキュリティの考慮
LANとWANを連携させる際には、セキュリティが非常に重要です。
内部ネットワーク(LAN)のセキュリティを守りながら、WANとの安全な通信を確保するためには、ファイアウォール、VPN(Virtual Private Network)、暗号化技術などの高度なセキュリティ対策を施す必要があります。
これにより、データの機密性を保持し、不正アクセスや攻撃からネットワークを守ることができます。
LANとWANのまとめ
LANとWANは、それぞれ異なる特徴と用途を持ちながらも、現代のネットワーク環境では密接に連携しています。
LANは家庭やオフィスなどの小規模なネットワークで、迅速で信頼性の高い通信を提供します。一方、WANは広範囲な地理的エリアをカバーし、企業間や国際的な通信を可能にします。
今後、ネットワーク技術はますます進化し、LANとWANの連携もより高度化することで、情報社会の発展が加速するでしょう。ネットワークの基礎を学び、これらの技術を理解することは、現代のデジタル世界で非常に重要です。
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