インターネットを使ってウェブサイトを閲覧する際に、私たちが目にする「HTTP」ですが、実際にその意味や仕組みについて深く考えたことはあまりないかもしれません。Webサイトのアドレスに「https://」が付いているのを見かけたことはありますが、HTTPがどんな役割を果たしているのか、どのように機能しているのか、詳細に理解している方は少ないのが現実です。
実は、HTTPはインターネット通信の基盤となる非常に重要なプロトコル(通信規約)で、私たちが普段行っているWebサイト閲覧に欠かせない要素です。
本記事では、HTTPとその進化版であるHTTPSについて、仕組みや役割、さらにそれらがどのようにインターネットでのセキュリティを守っているのかをわかりやすく解説していきます。Webエンジニアとしても知っておきたい基本から応用まで、深掘りしていきます。

聞いたことはあるけど、どんな役割があるの?

Webページを表示するためには欠かせないプロトコルだよ!
HTTPとは?基本を知ろう
まず、HTTPの基本的な意味と役割について解説します。
HTTPは「HyperText Transfer Protocol」の略で、ウェブページを表示するために使われる通信規約です。具体的には、ウェブブラウザ(ChromeやFirefox、Safariなど)とサーバー間でデータを送受信する際のルールを定めたプロトコルです。HTTPを使うことで、ウェブページの情報や画像、動画などが私たちのブラウザに表示されるのです。
HTTPリクエストとHTTPレスポンス
HTTPは「リクエスト」と「レスポンス」という2つのやり取りのプロセスから成り立っています。
例えば、ウェブブラウザで「https://example.com」というURLを入力してエンターキーを押すと、ブラウザはそのURLに対応するサーバーに「HTTPリクエスト」を送ります。
このリクエストに対して、サーバーは要求されたウェブページのデータを「HTTPレスポンス」として返し、ブラウザはそのデータを解釈してウェブページを表示します。このプロセスは何度も繰り返され、ウェブサイトのコンテンツが私たちの画面に表示されるのです。
このように、HTTPは非常にシンプルで効率的な通信方法ですが、問題も存在します。特にセキュリティ面での課題が多く、これを解決するために後述する「HTTPS」という仕組みが登場しました。

HTTPのステートレス性とは?
HTTPは「ステートレスプロトコル」としても知られています。これは、各リクエストが独立して処理され、前回のリクエストやセッションの状態をサーバー側で覚えていないという特徴を意味します。
たとえば、あるページを読み込んだ後、再度リクエストを送ると、サーバーはそのリクエストが前回のリクエストと関連があるかどうかを認識できません。
HTTPSとは?—HTTPの進化
HTTPが抱えるセキュリティ上の問題を解決するために登場したのが「HTTPS」です。HTTPSは「HyperText Transfer Protocol Secure」の略で、HTTPに「SSL/TLS」という暗号化技術を組み合わせたものです。このプロトコルは、ウェブブラウザとサーバー間の通信を暗号化することで、データの盗聴や改ざんを防ぎます。
HTTPSのメリット
- 信頼性と安心感
HTTPS対応のウェブサイトは、ユーザーに「このサイトは信頼できる」と感じさせ、安心して個人情報を入力させることができます。
- データの暗号化
HTTPSは通信内容を暗号化するため、第三者による情報の盗聴や改ざんを防ぎます。これにより、パスワードやクレジットカード情報などの機密情報が安全に送信できます。
- 認証機能
HTTPSは、サーバーが本物であることを証明するためのデジタル証明書を使用します。これにより、フィッシングサイトなどの悪意のあるサイトにアクセスするリスクを減少させます。
SSL/TLSとは?HTTPSの心臓部
HTTPSにおける「SSL」(Secure Sockets Layer)および「TLS」(Transport Layer Security)は、通信の暗号化を担う技術です。これらのプロトコルは、通信内容を安全に保つために、データを暗号化し、インターネット上での情報漏洩を防ぎます。
SSLとTLSの違い
- SSLは、かつてインターネット上の通信を暗号化するために使われていたプロトコルです。現在では、SSLはセキュリティ上の脆弱性が指摘されており、TLS(Transport Layer Security)に取って代わられています。
- TLSは、SSLを改良したプロトコルであり、より強力で安全な暗号化を提供します。現在、ほとんどのウェブサイトではSSLではなくTLSを利用しています。
SSL/TLSがどのように通信を暗号化するのか、その仕組みについては少し技術的ですが、要はデータを暗号化し、送受信する情報が盗まれたり改ざんされたりしないように守っているのです。
HTTPS証明書の仕組み—サイトの正当性を証明
HTTPSには、ウェブサイトの正当性を証明するために「デジタル証明書」という仕組みがあります。この証明書は、信頼できる認証局(CA:Certificate Authority)から発行されます。
証明書の検証
ウェブブラウザがHTTPS通信を行う際、サーバーから送られてきた証明書が有効かどうかを確認します。証明書に問題があった場合、ブラウザは警告を表示し、ユーザーに注意を促します。
このように、証明書を使うことで、ユーザーはウェブサイトが本物であるかどうかを判断することができます。
HTTPとHTTPSの違い—何が変わったのか?
HTTPとHTTPSの大きな違いは、セキュリティ機能の有無です。HTTPは暗号化を行わないため、通信内容が第三者に傍受されるリスクがありますが、HTTPSはSSL/TLSによって通信内容を暗号化し、データの保護を強化しています。
特徴 | HTTP | HTTPS |
---|---|---|
セキュリティ | 暗号化なし | SSL/TLS暗号あり |
サーバー認証 | なし | デジタル証明書で確認 |
主な用途 | 一般的な通信 | セキュアな通信が必要な場面 |
HTTPSの普及と今後の展望
現在、多くのウェブサイトがHTTPSを導入しています。Googleは、HTTPSを導入しているサイトをSEOランキングで優遇しており、今後さらに普及が進むと予想されています。また、ウェブブラウザでも、HTTPで通信しているサイトに対して「安全でない」と警告を表示するようになり、ユーザーのセキュリティ意識が高まっています。
セキュリティの重要性が高まる中、HTTPからHTTPSへの移行はますます進んでいくでしょう。ユーザーの信頼を得るためにも、HTTPSの導入は今後ますます必要不可欠になっていきます。
まとめ
HTTPはWeb通信の基本となるプロトコルであり、インターネット上でウェブページを閲覧するためには欠かせない技術です。しかし、HTTPはセキュリティ面でいくつかの課題を抱えており、その解決策として登場したのがHTTPSです。HTTPSはSSL/TLSによる暗号化を通じて、通信内容を保護し、ユーザーの信頼を高めることができます。
HTTPSの普及が進む中で、今後ますますWebのセキュリティが重要視されるでしょう。これからもHTTPとHTTPSの違いやその役割について理解を深め、Webエンジニアとしてのスキルを磨いていきましょう。