「保守性の高いコード」とは、ただ動くだけのコードではなく、将来の変更や追加を容易にするために意図的に設計されたコードのことです。
現代のソフトウェア開発において、保守性の高いコードを意識することは、チーム全体の生産性を向上させ、長期的なプロジェクトの成功に繋げるための重要な要素です。
本記事では、エンジニアとして一歩進んだ視点を持つために、「保守性の高いコード」について深掘りし、その重要性や実践的なテクニックを紹介します。

ただ動くだけのコードは卒業しよう!
保守性の高いコードの重要性
ソフトウェア開発において「動けばいい」と思うことが一時的には正解かもしれませんが、長期的に見ればそれは大きな問題を引き起こします。
なぜなら最初に「動けば良い」というコードを書いてしまうと、後から機能を追加したりバグを修正したりする際に、コードが理解しづらく、手を加えるのが非常に難しくなるからです。
一度書いたコードに手を加えなければならない場面では、保守性の高いコードほど変更や拡張がスムーズに行えるため、開発者の負担も少なくなります。それによって、納期を守るための工数削減や、品質向上にも貢献します。
特にチーム開発では、複数人が同じコードベースに関わるため、保守性を意識したコードはコードの共有や変更の追跡がしやすく作業が円滑に進みます。

適当に書いたコードは、後で自分が読んでも理解できないなんてこともある…
保守性の高いコードの特徴
では、実際にどんなコードが保守性が高いといえるのでしょうか?保守性の高いコードにはいくつかの共通する特徴があります。
以下の特徴を備えているコードは、後から機能を追加したり、バグを修正したりする際に有利です。
可読性が高い
コードは、誰が読んでもその意図がわかるように書かれているべきです。無駄な複雑さを避け、直感的に理解できる構造にすることが重要です。
例えば、関数名や変数名に意味のある名前をつけることで、コードを読んだ人がその役割や目的をすぐに理解できるようにします。
モジュール化されている
コードは、機能ごとに分割され、必要な部分だけを変更できるようにモジュール化されていることが望ましいです。大きな塊として書かれたコードは、変更の際に全体を理解する必要があり、バグが発生するリスクが高まるからです。
モジュールごとに分けておけば、問題が発生しても影響範囲を絞ることができます。
テストしやすい
保守性の高いコードは、単体テストが容易である必要があります。
機能ごとにテスト可能な状態に分けておけば、コードに手を加えた後でも、既存の動作を壊すことなく確認することができます。
拡張性が高い
再利用性が高い
一度作成したコードが他の部分でも利用できるようにしておけば、同じコードを何度も書く手間が省け、メンテナンスの負担が軽減します。

色々気を付けるポイントがあるんですね

いきなり全部は難しいから1つずつ意識を変えていくことが大事
保守性を高めるための設計原則
保守性の高いコードを実現するためには、設計の段階でいくつかの原則を守ることが重要です。
良い設計原則を身につけることで、コードがどんどん成長し、後から手を加えることが簡単になります。
シンプルさを追求する
ソフトウェアの設計や実装においては、「シンプルなコード」が最も保守性が高いといえます。コードが複雑になるほど、理解が難しく、修正や拡張が難しくなります。
シンプルなコードはエラーが少なく、後で変更しても影響を最小限に抑えることができます。不要なロジックを削除し、シンプルな方法で問題を解決することを意識しましょう。
変更に強い設計を目指す
ソフトウェアは、開発が進むにつれて必ず変更が加わります。そのため、変更が加わった際にコードが壊れにくい設計にしておくことが求められます。
例えば、「Open/Closed Principle」(開放/閉鎖の原則)に従って、既存のコードを変更することなく新しい機能を追加できるように設計することが大切です。
依存関係を減らす
コードの依存関係が複雑になると、とある部分を変更した際に他のどの部分に影響が出るのかがわかりづらくなります。
依存関係を減らし、各モジュールが他のモジュールに依存しないように設計することで、コードの保守性を高めることができます。
実践的なコーディングテクニック
保守性の高いコードを実現するためには、いくつかの実践的なコーディングテクニックを駆使することが必要です。以下にいくつかのテクニックを紹介します。
意味のある名前をつける
変数名や関数名に、その目的や役割が明確にわかる名前をつけましょう。
たとえば、calculatePrice
やgetUserDetails
など、具体的で直感的な名前を使うことで、コードを読んだだけでその処理が何をしているのかがわかります。
関数やクラスを適切に分割する
関数やクラスには、1つの責務を持たせることが大切です。
「一つの関数に複数の責務を持たせない」という原則を守り、必要に応じて関数やクラスを分割しましょう。これにより、コードがよりシンプルで理解しやすくなり、後で変更しやすくなります。
コメントとドキュメントを活用する
コードを読む人にとって、その意図や理由がわかるようにコメントを適切に書くことも大切です。
ただし、コメントを書くときは「何をしているのか」ではなく、「なぜそのような実装をしているのか」を記載することを意識しましょう。
テストコードを充実させる
テストコードをしっかりと書いておくことで、保守性を高めることができます。
特に単体テストは、コードの変更が他の部分に影響を与えていないかを検証するために役立ちます。テストコードを整備しておけば、リファクタリングや新機能の追加後でも安定性を保つことができます。

これら全てを意識できている人はとても少ない…
保守性の高いコードを実現するための習慣
保守性の高いコードを書くためには、日々の習慣が非常に重要です。以下の習慣を意識することで、良いコードが書けるようになります。
まとめ
保守性の高いコードを書くことは、長期的なソフトウェア開発において非常に重要です。
- コードの可読性
- モジュール化
- テストのしやすさ
- 拡張性
- 再利用性
といったように意識すべきことは多くありますが、これらができるとコードは成長し続け、後からの変更や機能追加が容易になります。
さらに、日々の習慣としてコードレビューやリファクタリングを行い、最新の技術を学び続けることが、エンジニアとしてのスキルアップにも繋がります。
これらのテクニックや習慣を実践し、保守性の高いコードを意識して書き、長期的に安定したソフトウェアを開発できるようになりましょう。
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