ネットワーク上のデバイスを識別するための値として、IPアドレスというものがあります。
IPアドレスはデバイスが増えれば増えるだけ、一緒に増加していきます。
では、そんな膨大なIPアドレスは誰が振り分けてくれるのでしょう。
人間が手動で設定する方法もありますが、今回はそれを自動で行ってくれるDHCPというものについてまとめていきます。
DHCPとは
DHCP(Dynamic Host Configuraion Protocol)は、ネットワーク上のデバイスにIPアドレスや他のネットワーク設定を自動的に割り当てるためのプロトコルです。
ネットワーク内の各デバイスに手動で設定を行わなくていいので、管理が簡単です。
DHCPの基本的な動作
DHCPは以下の4つのステップで動作します。
Discover(発見)
新しくネットワークに接続されたデバイス(クライアント)は、IPアドレスを要求するためにDHCPサーバーを探します。
この要求はブロードキャストメッセージとして送信され、ネットワーク上のすべてのデバイスが受信します。
Offer(提供)
DHCPサーバーは、利用可能なIPアドレスとその他の設定情報(サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSサーバーなど)を含む応答メッセージをクライアントに送信します。
Request(要求)
クライアントは、提供された情報の中からIPアドレスを選択し、そのアドレスを要求するメッセージをDHCPサーバーに送信します。
Acknowledge(確認)
DHCPサーバーはクライアントの要求を承認し、そのIPアドレスをクライアントに割り当てることを確認します。
これにより、クライアントはネットワーク上で通信を開始できます。
DHCPの利点
DHCPの主な利点は以下の通りです。
自動化
IPアドレスの手動設定が不要になり、ネットワーク管理が大幅に簡素化されます。
一貫性
中央管理されたサーバーからIPアドレスや他の設定情報が提供されるため、ネットワーク設定に一貫性が保たれます。
効率性
DHCPは利用可能なIPアドレスを自動的に再利用するため、IPアドレスの効率的な利用が可能です。
DHCPの構成要素
DHCPには以下の構成要素があります。
1.DHCPサーバー
IPアドレスとその他のネットワーク設定情報を管理し、クライアントに提供。
2.DHCPクライアント
ネットワークに接続されるデバイスで、DHCPサーバーからIPアドレスを取得。
3.DHCPリソース
DHCPサーバーからクライアントに割り当てられたIPアドレスは、一定期間(リース期間)だけ有効。
リース期間が終了すると、クライアントは新しいIPアドレスを要求するか、リースを更新する必要がある。
DHCPの設定例
実際にDHCPサーバーを設定する方法について、以下の簡単な例を示します。
以下の例では、Linuxでの設定を想定しています。
DHCPサーバーのインストール
まず、DHCPサーバーソフトウェアをインストールします。
Debian系のLinuxディストリビューションを使用している場合、以下のコマンドを実行します。
sudo apt-get update
sudo apt-get install isc-dhcp-server
設定ファイルの編集
次に、DHCPサーバーの設定ファイル(通常は’/etc/dhcp/dhcpd.conf’)を編集して、ネットワーク設定を指定します。
以下は基本的な設定例です。
default-lease-time 60¥0;
max-lease-time 7200;
subnet 192.168.1.0 netmask 255.255.255.0 {
range 192.168.1.100 192.168.1.200;
option routers 192.168.1.1;
option subnet-mask 255.255.255.0;
option domain-name-servers 192.168.1.1, 8.8.8.8;
option domain-name "example.com";
}
この設定では、DHCPサーバーは192.168.1.0/24サブネット内で192.168.1.100から192.168.1.200の範囲のIPアドレスをクライアントに割り当てます。
また、デフォルトゲートウェイ、サブネットマスク、DNSサーバー、ドメイン名を指定しています。
DHCPサーバーの起動
設定ファイルを編集したら、DHCPサーバーを起動します。
sudo systemctl start isc-dhcp-server
また、サーバーを再起動しても自動的に起動するように設定します。
sudo systemctl enable isc-dhcp-server
まとめ
DHCPサーバーは、ネットワーク管理を簡素化し、IPアドレスの割り当てを自動化する強力なツールです。
これがあるから、新しくデバイスが追加されたりしても手動でどのIPアドレスが使えるか探し、割り当てるといったことをしなくてよくなります。
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