~都内IT企業9か月目、自分が体験した喜びと挫折の記録~
入社式の朝、お猿SEは胸を躍らせていました。
学生時代から憧れていたITエンジニアにようやくなれる。
自分が書いたコードで世の中をよりよくするんだ
そんな風に大きな期待を抱いて第一歩を踏み出しました。
しかし現実は期待通りでもあり、まったく違うものでもありました。
今回は、そんなお猿SEの体験を交えつつ、
「IT業界ってこんな世界なんだ!」
と少しでもイメージできるようにIT業界のリアルについてお話していきます。
想像以上の厳しさと予想外の発見
最初の壁:「Hello,World」じゃ済まない現場
入社後すぐに直面したのは、学生時代のプログラミングとは比べ物にならない複雑さでした。
バージョン管理、コードレビュー、本番環境とステージング環境の違い、セキュリティ考慮、パフォーマンスチューニング….。
理解しなければならない概念が山のようにありました。
もしプログラマーであれば、既にある仕様に沿って進めばいいので、理解する分野としては狭いかもしれません。
しかし私がなったのはシステムエンジニアであり、学ぶ範囲は広く、様々な分野を理解していく必要がありました。
特に印象に残っているのは、入社して配属後に行った小さな機能追加のタスクです。
ステージング環境にて動作確認中、思わぬバグを引き起こし、自分の知らないところで影響が出ていました。
他の方たちにも迷惑をかけてしまったので、コードを書くことは、こんなにも責任を伴うものだということをここで初めて知りました。
同期の離職から学んだこと
入社6か月で、同期の一人が退職しました。
彼は、自分よりも優秀な大学出身で、技術力も高く、上司からも評価が良かったです。
しかしながら、
「自分が目指すキャリアと違う」
理由で退職していきました。
この出来事は、お猿SEに大きな気付きをもたらしました。
エンジニアという職種の中にも、様々な道があること。
そして、早めに自分の方向性を見極めることの重要性です。
私はフルスタックエンジニアを目指しており、その他の観点を考えても、幸運にも今の自分と合っていました。
思いがけない発見:私の会社の「ホワイトさ」
驚きの労働環境
お猿SEが勤務する企業は、世間で言われる「ホワイト企業」の特徴を多く持っています。
- 残業は月平均10時間ほど
- 週1回だけの出社
- 有給休暇の取得推奨
- 技術書購入費用の補助
- 社内勉強会の定期開催
ただし、この「恵まれた環境」にも独自の課題があります。
リモートワークの落とし穴
週1出社のリモートワーク中心の働き方。
一見理想的にも思えるこの環境で、私は意外な苦労を経験しています。
例えば、ある機能開発で行き詰ったことです。
オフィスなら気軽に先輩の席に行って相談できるところ、リモートではちょっとした質問でも
「Slackで聞いたり、通話をかけたりして邪魔にならないか」
と悩んでしまいます。
また、チーム内の雑談から得られる情報や、先輩方の仕事ぶりを間近で見て学ぶ機会が限られているのも、新人の私には少し不安です。
意外な発見:給与と成長の法則
給与の真実
IT業界の給与水準は確かに高めです。
しかし、入社時の高給与に安心していると危険です。
そのまま、順調に給与がステップアップしていく大手有名企業もありますが、私の会社のような体系がまだまだ多いんじゃないかと思います。
- 初年度年収:450万円
- 昇給幅:年3~5%
- ボーナス:業績連動で変動大
重要なのは、この数字以上に「市場価値を高める技術力」だとお猿SEは考えています。
技術力があれば、高い評価してくれる企業は増えてきていますから。
スキルアップの真実
入社9か月で以下のスキルが身についてきました。
- Git/GitHubでのバージョン管理
- チーム開発の基礎
- AWSの基本的な操作
- CI/CDパイプラインの理解
- コードレビューの作法
しかし同時に、まだまだ足りないスキルも見えてきました。
- システム設計の知識
- セキュリティの深い理解
- パフォーマンスチューニング
- ビジネス課題への落とし込み方
特に自分の場合、システム設計に課題があります。
システム設計で抽象的な点をできるだけ具体的に移すことで、実装でもスピード感持って進められることが分かってきました。
将来への展望:見えてきた課題と希望
変化する働き方への対応
現在、海外企業や国内IT企業がオフィス回帰をしていることもあり、お猿SEの会社も方針が変わりつつあります。
今は週一出社なのですが、どうやら春頃から週3出社を義務付けられるそうです。
千葉に住む自分にとって、この変更は少々手痛いです。
通勤時間は片道1時間。
この変更を機に、以下を検討しています。
- 引っ越し(ペットが飼えるとこがいいな)
- リモートワークが続く他社への転職
- 現状維持で様子見
今の会社はまだまだ学ぶ要素がたくさん残っており、労働環境としても悪くないので、とりあえずは3の様子見でいこうかと思っています。
ペットを飼いたいので、引っ越す可能性はありそうですが、転職は今のところは考えていません。
理想の環境を求めて
9か月間の経験から、理想の職場環境が見えてきました。
- 技術的な挑戦ができる環境
- 新規プロジェクトへの参画機会
- 最新技術へのキャッチアップ時間確保
- 技術的な意思決定への参加
- 学びやすい文化
- 質問しやすい雰囲気
- 定期的なフィードバック
- 失敗を許容する文化
- キャリアパスの可能性
- 明確な評価基準
- スキルマップの存在
- キャリア面談の実施
このあたりが揃っている会社は、新卒や若手エンジニアにとって働きやすい環境だと思います。
これからIT業界を目指す方へ:お猿SEからの提言
IT業界へ身を置くことを考えている方へ、新卒エンジニア目線で入社を考える際のポイントをまとめていきます。
入社前に確認しておくべきこと
- 技術スタック
- 使用言語やフレームワーク
- インフラ環境
- 開発手法
- 育成体制
- メンター制度の有無
- 新人研修の期間と内容
- 技術書籍購入補助などの自己啓発支援
- 働き方
- リモートワークの割合
- 残業の実態
- 休暇取得状況
例えば、使用言語を意図なく流行りだからと使っていたり、育成に力を入れていないなどの企業は入社候補とするか、立ち止まり考える必要があります。
意外と重要だった非技術スキル
技術力も勿論大切ですが、それと同等に大事なこともあります。
- コミュニケーション能力
- 質問する力
- 説明する力
- チャットでの適切な表現力
- タイムマネジメント
- タスクの優先順位付け
- 期限管理
- 作業時間の見積もり
- ストレス管理
- 健康管理
- メンタルヘルスケア
- ワークライフバランス
学生時代は様々な面で大人からのサポートがありました。
しかし、社会人になるとそんなことはしてくれなくなります。
全て自分の責任です。
システムエンジニア関係なく、自分の頭で考え、適切な行動を行う必要性があります。
9か月目のお猿SEから
入社当初は不安だらけでしたが、少しずつ自身がついてきて、うまくやれてきています。
先日初めて担当した機能がリリースされ、好評価を得た時はこの仕事を選んで本当に良かったと思いました。
確かに、技術の進歩は速く、常に新しい課題が押し寄せてきます。
でも、それこそがエンジニアの醍醐味なのかもしれません。
これから先、AIの発展や新しい技術の台頭で、エンジニアの役割は大きく変わっていくことでしょう。
しかし、基礎をしっかり固め、柔軟に学び続ける姿勢があれば、どんな世界でも生き残り道は開けると信じています。
読んでくださった皆さん、特に将来エンジニアを目指す方々へ。
エンジニアの世界は想像以上に厳しく、でも想像以上にやりがいのある仕事です。
ぜひ覚悟を持って、一歩を踏み出してください。
お猿SEもまだまだ発展途上の若手エンジニアとして、皆さんと共に歩んでいきます。
2025年もがんばるぞ~!