皆さん「エキスパートシステム」という技術をご存知でしょうか。
これは、コンピュータが専門家のように判断することが可能で、人間の専門家が持つ知識と経験をコンピュータに移し、複雑な問題を解決するシステムとなっています。
今回はこの「エキスパートシステム」について見ていきます。
エキスパートシステムの基本構造
さて、エキスパートの説明ですが、この技術は大きく分けて以下の3つの主要部分で構成されています。
1.知識ベース(Knowledge Base)
知識ベースはシステムの「頭脳」に当たる場所で、専門家が持つ知識や経験、ルールをここに集めます。
医療分野のエキスパートシステムであれば、病気の症状や治療方法に関する情報がここに含まれます。
2.推論エンジン(Inference Engine)
推論エンジンは知識ベースを使って、問題を解決する役割を担います。
入力された情報を基に、知識ベースのルールを適用し、結論を導き出します。
3.ユーザーインターフェース(User Interface)
ユーザーインターフェースでは、他の技術で使われる意味と同じでユーザーがシステムと対話する部分です。
ユーザーから情報を入力され、それに応じて答えをユーザーに返す部分となっています。
エキスパートシステムとAIの関連性
エキスパートシステムは、人工知能(AI)の一部として位置付けられています。
AIは人間の知識を模倣する総称であり、その中には機械学習や自然言語処理など、様々な技術が含まれます。
特定の分野に特化した知識を活用する点で、他のAI技術と異なりますが、AIの重要な一翼となっています。
機械学習との違い
エキスパートシステムと機械学習はしばし混同されがちです。
然し、実際は異なるアプローチをとっていて、エキスパートシステムは専門家の知識をルールとして明示的にプログラムします。
一方機械学習は、大量のデータを用いてパターンを見つけ出し、そのパターンを基に予測や判断を行います。
機械学習は、自動的に知識を獲得し続ける点で柔軟性がありますが、エキスパートシステムは特定の知識に基づいた高い信頼性を持ちます。
エキスパートシステムの例
エキスパートシステムは様々な分野で活用されており、以下のような例が挙げられます。
医療分野:診断医療システム
医者が患者の症状を入力すると、可能性のある病気や治療法を提案します。
金融分野:投資アドバイザーシステム
市場のデータを分析し、最適な投資戦略を提案します。
法務分野:法律相談システム
法律に関する質問に対して、適切な法的助言を提供します。
エキスパートシステムのメリットとデメリット
エキスパートシステムのメリットとデメリットは以下のようなものが挙げられます。
メリット
- 一貫性のある判断が可能
- 24時間365日利用可能
- 専門家の知識を広く共有できる
デメリット
- 知識ベースの更新が必要
- すべての状況に対応できるわけではない
- 専門化の知識に依存するため、知識が偏る可能性がある
まとめ
エキスパートシステムは専門家の知識をコンピュータに取り込み、特定の分野での問題解決を支援する強力なツールです。
医療、金融など様々な分野で活用されていて、AI技術の一環として進化を続けています。
今後も、いろんな場面での活躍期待できるでしょう。
以上エキスパートシステムのお話でした。