様々な場所でAIが現実世界へ溶け込み、自然な文章を生成したり、人と会話しているような体験ができるようになりました。
このような高度なことができるようになるための技術として機械学習があり、その中でも人間による「教え込み」が行われる「教師あり学習」という手法があります。
今回はこの教師あり学習がどのように学習を行っているのか、そして学習に必要なラベリングという概念について深堀していきます。
教師あり学習とは?AIに答えを教える
教師あり学習は、AIに「正解」となるデータを与えることで、そのデータの特徴を学習させ、新たなデータに対して予測・分類を行わせる機械学習の手法の1つです。
猫を例としてみます。
猫の画像に「猫」というラベルを付け、犬の画像に「犬」というラベルを付けることで、その2つのラベルについて特徴を見出します。
耳の形、目の形、毛の質感等を全て数値に変換し、AIに猫と犬の違いを学習させ、初めて見た画像が入力されたときに、それが猫なのか犬なのかを判断できるようにさせます。
その他具体例
- 画像認識
猫、犬、車などの画像にそれぞれラベルを付け、AIに学習させることで、新しい画像がどのカテゴリーに属するかを予測するAI。
- 自然言語処理
文章の感情分析(ポジティブ、ネガティブ、喜怒哀楽など)や文章の分類(ニュース記事、レビュー、会話など)を行うAI。
- スパムメールフィルタリング
スパムメールと正常なメールにラベルを付け、AIに学習させることとで新しく送られてきたメールが正常なメールかどうかを判断するAI。
学習を支えるラベリング作業
教師あり学習で高い精度のAIを作るには、付けるラベルが正しくなくてはなりません。
このラベルを付ける作業をラベリングと言います。
画像データであれば、画像に写る物体が何であるかテキストで記述したり、音声データであれば内容をテキスト化したりします。
ラベリングは一見単純な作業ですが、非常に手間のかかる作業です。
機械学習においてのデータ数は数億、数十億という量が当たり前にあったりしたり、ラベルが複雑なデータであったりする場合は、専門的な知識や経験も必要となってきます。
ラベリングの重要性まとめ
- 学習データの質向上
いくら大量のデータがあったとしても、正しくラベル付けが行われていないと意味がありません。
正確なラベリングを行うことで、AIの学習効率が向上し、より高精度なモデルを構築することができます。
- モデルの性能評価
ラベリングされたデータを使って学習モデルを評価することで、モデルの精度も客観的に評価することができます。
- AIの信頼性向上
正確なラベリングを行うことで、AIの予測結果に対する信頼性も高まります。
ラベリングの課題と解決策
現在ラベリングには以下のような課題があります。
- コスト
大量のデータをラベリングするには、時間と費用が掛かります。
- 一貫性
ラベルを付ける人が複数人いる場合、ラベリングの基準が統一されない可能性があります。
- 専門性
専門的な知識が必要なデータの場合、適切にラベル付けを行える人を探す必要があります。
これらの課題の解決さくとしては以下のような取り組みが挙げられます。
- クラウドソーシング
大量のデータを短時間でラベリングするためには、MicrosoftのAzureやAmazonのAWSといったようなクラウドソーシングを活用することでコスト、一貫性問題を解決できる可能性があります。
- アクティブラーニング
AI自身が学習しながら、最も効果的なラベリング対象を自動的に選択するやり方があります。
- 弱教師あり学習
不完全なラベルやノイズを含むデータを用いて学習を行う手法です。
教師あり学習の将来性
教師あり学習はAIの発展に必要不可欠な技術と言えるでしょう。
近年は深層学習の発展により、複雑なタスクをこなせるAIもどんどんと出てきている状況です。
しかし、AIが人間の能力を超えるためには、より一層高度な教師あり学習とラベリング技術が必要となってきます。
今後の展望としては、
「AIによる自動ラベリング」
「少数データで学習」
「人間とAIの協同による効率的なラベリングシステム」
といったような技術が挙げられるでしょう。
教師あり学習のまとめ
教師あり学習は機械学習の1手法として非常に大きな役割を持っており、まだまだ発展途上の技術なので、より効果的な学習が行われるようになることが期待されます。
ラベリングもまた重要視されており、より効率的かつ正確なラベリング手法が生まれてくることでしょう。
以上教師あり学習とラベリングに関するお話でした。
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