サーバーの仮想化は現代のITインフラストラクチャにおいて重要な役割を果たしており、多くの企業がその利点を享受しています。
今回は仮想サーバーと物理サーバーの違いや仮想サーバーのメリットとデメリット、更にサーバーの仮想化に用いられる2つの主要な手法についてまとめてみました。
仮想サーバーと物理サーバーの違い
1.物理サーバーとは
物理サーバーは、具体的なハードウェアとして存在するサーバーです。
特定のハードウェアリソース（CPU,メモリ,ストレージなど）を持ち、それぞれのサーバーは特定のアプリケーションやサービスの実行に専念します。
物理サーバーは、そのハードウェアリソースを直接使用し管理するため、パフォーマンスが高く、特定のニーズに対して最適化されています。
2.仮想サーバーとは
仮想サーバーは、物理サーバー上で動作する仮想化技術を利用して作成された論理的なサーバーです。
仮想化ソフトウェアを使用して物理サーバーのリソースを抽象化し、複数の仮想サーバーを1つの物理サーバー上で実行することが可能です。
仮想サーバーは独立したOS・アプリケーション及び設定を持つため、まるで独立した物理サーバーのように動作します。
仮想サーバーのメリット
1.コスト削減
仮想サーバーは1つの物理サーバー上で複数の仮想マシンを実行できるため、ハードウェアの購入及び保守コストを大幅に削減できます。
これによって、企業は必要な物理サーバーの数を減らし、電力消費やデータセンターのスペースも節約できます。
2.柔軟性とスケーラビリティ
仮想サーバーは需要に応じて簡単に作成、削除、及び再配置が可能です。
これにより企業はリソースの割り当てを迅速に調整し、ビジネスニーズに応じてITインフラをスケールアップまたはスケールダウンできます。
3.高可用性とディザスタリカバリ
仮想化技術により仮想マシンを簡単にバックアップし、異なる物理サーバーに復元することが可能です。
これによりハードウェア障害のダウンタイムを最小限に抑え、高い可用性を確保できます。
また、災害発生時にも迅速に復旧できるため、ビジネス継続性が向上します。
4.リソースの効率的な利用
仮想サーバーは、物理サーバーのリソースを効率的な利用することができます。
従って、CPU/メモリ/ストレージの使用率が最適化され、リソースの無駄を減らすことができます。
仮想サーバーのデメリット
1.パフォーマンスのオーバーヘッド
仮想化ソフトウェアがハードウェアリソースを管理するため、物理サーバーと比較して若干のパフォーマンスオーバーヘッドが発生することがあります。
特に、高負荷のアプリケーションを実行する場合、オーバーヘッドが顕著になることがあります。
2.複雑な管理
仮想サーバーの環境は物理サーバーよりも複雑であり、適切な管理が必要です。
仮想マシンの数が増えると、リソースの管理、セキュリティの確保、バックアップの運用が難しくなることがあります。
また、専用の管理ツールや知識が必要となる場合もあります。
3.セキュリティリスク
仮想化環境では、複数の仮想マシンが同じ物理サーバーを共有するため、セキュリティリスクが増大します。
ハイパーバイザーの脆弱性や、1つの仮想マシンの侵害が他の仮想マシンに移ってしまうリスクを考慮する必要があります。
サーバー仮想化に使われる2つの手法
1.ホストOS型
ホストOS型は土台となるソフトウェアをインストールし、そのソフトウェア上で仮想マシンを稼働させる方式です。
既に利用しているサーバーやPCにもインストールすることができるので手軽に導入できます。
しかし、ハードウェアへアクセスするにはホストOSを経由しなくてはならないので、余計なオーバーヘッドがかかり性能を発揮できない可能性があります。
ホストOS型を実現する主な仮想化アプリケーションは、Oracle VirtualBox, VMware Player, VMwareWirkstationなどがあります。
2.ハイパーバイザ―型
ハイパーバイザー型は、サーバーへ仮想化ソフトウェアを物理サーバーに直接インストールし仮想マシンを稼働させる方式です。
ホストOSを必要としないのでハードウェアを直接制御することができます。
これにより、仮想マシンの速度低下を最小限に抑えることができ、ホストOS型と比べると高い処理能力を持ちます。
デメリットとしては、既存のホストOSをそのまま利用できず、専用の物理サーバーを別途用意する必要があるので、手軽さは劣ります。
ハイパーバイザ―型に必要な仮想化アプリケーションとしては、VMware vSphere, Hyper-V, Xenなどがあります。
仮想サーバーのまとめ
サーバーの仮想化は、現代のITインフラストラクチャに不可欠な技術となっており、多くの企業が採用しています。
仮想サーバーと物理サーバーの違いを理解し、仮想サーバーのメリットやデメリットを考慮することで、最適な仮想化戦略を立てることができるようになります。
サーバーとは何かという問題についてはこちら。
